秋風がまた

秋風がまた
夏の残像を奪う
乾いてく 褪せていく
夏の匂いも
明日にはまた
嘘みたいに笑えるのだろう
踏みつけた木の実が香る

「まだかな まだかな」
が口癖だった
並木道の角で待ち合わせ
亜麻色の髪と甘い匂いで
いつでも君は現れる

落ち葉拾って はにかんで
空にバラまいて
オレンジ色のシャワー
浴びているみたい

秋風がまた
夏の残像を揺らす
霞んでいく 薄れてく
夏の記憶も
それなのになぜ
少しも寂しくないのだろう
得意げに笑う顔、浮かぶ

「いつかは枯れてく
運命なんだね」
真面目な顔してつぶやいた
「らしくない らしくない」と
頬を叩いて
嘘みたいに笑ってた

穏やかな日々、寝転んで
空を眺めてる
燃えてる夕日に溶けてみたい

秋風がまた
緩やかに時を流す
眺めてる夕焼けが
なぜか切ない
明日にはまた
陽も短くなっていくのだろう
空風が季節を運ぶ

袖をまくり上げて笑う
結わいた毛先が跳ねる
切れ長の美しい瞳に
吸い込まれてく
惹きこまれていく
秋に染まっていく

秋風がまた
恋煩えよと急かす
分かっている
分かっているんだ
ぜんぶ、いつか褪せると
それなのになぜ
こんなに愛しくなるのだろう
振り向いた君に見惚れる
揺らいでる心が解ける

作詞作曲 飯田正樹

編曲 渡辺貴志

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